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新規学卒就職者の離職状況は、事業所の規模ごとにも集計されています。並べてみると、従業員数が少ない事業所ほど3年以内離職率が高いという傾向が、大学卒でも高校卒でも同じ向きで現れます。ただし、この傾向を「規模が小さいと辞めやすい」と読むと、統計が測っていない部分まで踏み込むことになります。

規模別に見た3年以内離職率

大学卒では、従業員1,000人以上の事業所に就職した人の3年以内離職率が最も低く、そこから500人以上1,000人未満、100人以上500人未満と規模が下がるにつれて数値は段階的に上がっていき、5人未満の事業所では5割を超えます。段差は大きい。

高校卒でも順序は同じです。水準そのものは大学卒より高くなりますが、規模の並び方は変わりません。

この一致は偶然と考えにくい。学歴の違う2つの集団で、しかも複数の年にわたって同じ向きの差が繰り返し現れているからです。

傾向をどう読むか

規模の差が離職率の差を生んでいる、と言い切るには材料が足りません。この統計は就職先の規模と離職の時期を記録していますが、なぜ辞めたのかは聞いていないからです。

考えられる経路は複数あります。規模の小さい事業所に多い職種の特性、採用のときに説明される仕事の範囲、配属されたあとに相談できる相手の数、休みの取りやすさ、賃金の水準。どれも事業所の規模と相関する変数ですが、規模そのものが離職を押し上げているのか、規模と一緒に動く別の条件が効いているのかは、この数字だけからは切り分けられません。

因果と相関を混ぜないこと。統計を読むときの基本です。

自分の職場を規模で判断しない

規模は分かりやすい変数です。求人票にも載っています。だからこそ、規模だけで見当をつけたまま、実際に自分の職場で何がどれくらいの頻度で起きているかを確かめずに判断してしまう、ということが起きます。

小さい事業所でも、任される範囲が明確で相談先がはっきりしている職場はあります。大きい事業所でも、配属先によっては相談できる相手が遠い。規模は分布の傾向を示す変数であって、目の前の職場の状態を決める変数ではありません。

全体の推移は新規大卒者の3年以内離職率にまとめました。

自分の職場を記録する

規模別の数字は、同じ規模の職場に就いた人たちの分布です。そのなかで自分の職場がどのあたりにあるのかは、労働時間や相談先の有無といった条件の単位に分けて記録してみるまで分かりません。分布は、自分の位置を測る物差しにはなります。